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糖尿病セミナー
内分泌学会・糖尿病学会専門医 萩原 魏

 

 

 

 

糖尿病とは胃の後ろにある膵臓で作られるインスリンというホルモンの働きが不足して、高血糖となり、やがて全身にいろいろな故障が次々とおこってくる厄介な病気です

 

 

 

 

最近我が国では、糖尿病は最も増加率の高い病気です。癌、脳血管障害や心臓病などより、はるかに急速に増加しています。糖尿病の患者様の数は700万人以上と推定されていますが、受診率は3割以下です。したがって糖尿病患者様の大半はご自分が糖尿病であることを知らず、放置されたままなのです。なぜ、糖尿病は最近急速に増えてきたのでしょうか?

糖尿病は高血圧、肥満、癌などと同じで生活習慣病の一つと考えられています。食事の過剰摂取(特に動物性脂肪)、アルコール消費量の増加とエスカレーターや自動車の普及による運動不足などが問題です。慢性不況下の精神的ストレスやパートタイムや夜勤者などの労働条件も問題です。さらに日本人の体質は膵臓からのインスリン産性能が低いことも明らかとなって遺伝素因性生活習慣病と考えるべきでしょう。

高血糖状態が続きますと、初めは自覚症状がなくて気付きませんが、放置しておくと、だるさ・口渇・多飲・多尿・体重減少・こむらがえりなどが目立ってきます。さらに進行しますと糖尿病の合併症がおこります。ある日突然目がかすんだり、下肢の神経痛や潰瘍そして腎機能が低下します。

糖尿病はごくありふれた病気です。世界中どこでも、どんな民族にもおこる病気です。高血糖をしっかり治療すれば恐ろしい合併症をおこすことはありません。なるべく早期に受診なさることをおすすめします。


糖尿病について更に詳しくお知りになりたい方は下記のメニューからお進みください。

  1. 糖尿病の症状とは?
  2. 糖尿病の検査とは?
  3. 糖尿病の食事療法
  4. 高血糖症・糖尿病の運動療法
  5. 糖尿病のお薬について
  6. インスリン療法について
  7. 進化論と医学について
  8. 進化論と医学について その2
  9. 進化論と医学について その3

1.糖尿病の症状とは?

大部分の糖尿病はしのびやかに発病するので自分がすでに糖尿病になっていることを知らぬ人が多いのです。
糖尿病にかかりやすい人には、しばしば血族に糖尿病者がいて、肥満していたり、甘いものや脂肪の多いものを好み、運動不足やアルコールをよく飲み、しかも家族や職場にストレスが多いという特長があります。

高血糖が持続しますと、やがて多飲、多尿、痩せのほか、皮膚特に陰部のかゆみやくりかえす化膿巣、疲れや性欲減退などがみられます。
さらに糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経症)が出てきます。

ところでわが国は世界一の長寿国ですが、老齢者糖尿病も確実に増えています。
しかし、老齢者では前述した成人とは異なって多飲、多尿などの自覚症状に乏しいために糖尿病の発見がより遅れてしまうことが多いのです。


2.糖尿病の検査とは?

では自覚症状の出る前に早期に糖尿病を発見するにはどうしたらよいのでしょうか。
住民検診、老人健診、職場検診などで定期的、積極的に尿検査、血液検査を受けることをおすすめします。
異常があれば糖尿病診断の決め手である経口ブドウ糖負荷試験を実施してください。
正常型か境界型か、糖尿病状態がわかります。

この検査では前日の夕食を早めにすませ、一夜絶食する必要がありますが、数日前よりできるだけストレス(過労、不眠やアルコール)を避けることがコツです。
自宅で測った血圧は正常なのに病院では高血圧(白衣高血症といいます)になった体験をお持ちの方も多いでしょうが、ストレスで血糖値は(甘い食品をとらないのに)上昇してしまうのです。

残念ながら、複数の合併症を持つ糖尿病初診患者が少なくないのが現実です。早めに受診なさることを心からおすすめします。


3.糖尿病の食事療法

食べたい気持ちは人の本能で食習慣も異なります。多くの糖尿病患者は、朝食を殆どらぬ人、夜食や間食の習慣をもつ人、三つの「ア」(脂もの、アルコール甘い食品)を好む人で、仕事の種類や肥満の有無、食物の消化吸収能力も人により異なることから、糖尿病専門医や管理栄養士は食事指導にあたり患者の食習慣をはじめあらゆる生活習慣、理解度や心理面などを充分配慮して、患者との信頼関係を確立することが食事療法の第一歩です。

数日間で結構ですから飲食したすべての食品名をメモしてください。その結果食べてよい食品の量、種類が決まります。事情
あって外食せねばならぬ人、多忙のためインスタント食品やファーストフードに依存せざるを得ない人もいます。面倒なカロリー計算が不要の「一生使える毎日の糖尿病献立」主婦の友社は便利です。
脳が衰えることなく元気なお年寄りは、牛乳でさえ噛んで飲む習慣を身につけています。ひと口30回以上噛む人は将来認知症に至ることが稀で、早飯は短命です。
また糖尿病
患者からよく飲酒の是非を尋ねられます。原則として糖尿病は禁酒です。ご承知のように適量の飲酒は冠動脈疾患(狭心症など)のリスクを下げる利点がありますが、糖尿病では、食事療法、運動療法を守り、コントロール良好で、薬物療法不要で糖尿病の合併症や肝障害を認めずしかもアルコール依存症のない患者に限って休肝日を設けて適当の飲酒(日本酒換算1.5合以下)を許可することがあります。この場合定期的通院が必須です。

治りにくい合併症を防ぐため、早めに定期的に受診なさることをおすすめします。


4.高血糖症・糖尿病の運動療法

高血糖症、糖尿病と診断されて食事療法の次は運動療法をといわれますと、うんざりなさる方も少なくないと思いますが食事療法の効果は運動療法を加えると倍増します。最近の糖尿病治療の大きな進歩のひとつです。

運動療法は薬物療法に比べ、充分実施されていないのが現況
です。「暮らしの手帖88」の「クスリなしで糖尿病と闘う私の方法」という記事には「早朝血糖250mg/dlヘモグロビンA1c12%の異常高値がゆがんだ生活習慣の是正、食事療法の他、運動療法を粘り強く実施されて健康を回復された」とあります。そして運動療法は食事療法以上に重要で、食物由来のブドウ糖を筋肉に吸収させるインスリンの働きを良くすることと理解されています。この方の強い意志に敬意を表しますが、職場の近くに運動場やプールがあるという好条件があります。

家庭の仕事の他パートで働く母親、サービス残業で夜10時頃疲れきって帰宅する方などギリギリの生活を余儀なくされている
達に「週4回以上7,000歩以上散歩しなさい」とは酷ですが、気軽に毎日行える運動療法としてダンベルが普及し始めています。人の筋肉はおよそ650種ありますが、くたくたに働いても使った筋肉数は意外と少ないです。簡単な準備体操の後、0.5~1キログラム(女性と老人)、2キログラム(男性)を用います。このとき必ず手首を内側に少し曲げ、腰を入れてゆっくり、じっくり10分程度行えば終了です。(手首を痛めたり、腰痛を起こさぬため)2ヶ月以上実施すれば血糖値、ヘモグロビンAicともに確実に正常値に戻ることが多いです。

当院でも小規模ですが、外来で教育入院時に患者さんに指導しています。主治医が運動療法を1対1で患者さんと直接指導することが基本です。


5.糖尿病のお薬について

糖尿病治療の目的は合併症の発症、進展を防ぐことで出来るだけ早期から膵臓のインスリン分泌能を温存することです。治療の第一歩は食事療法、運動療法です。この二つを怠って薬剤を無闇に長年服用しますとやがて膵臓のインスリン分泌能力が衰えてしまいます。現在使用されている経口血糖降下剤について説明します。

  • αーグルコシダーゼ阻害薬
    2種あり
    摂取した糖質の小腸からの吸収を遅らせ、食後の血糖上昇をゆるめます。早朝空腹時血糖は正常でも食後に高血糖になる患者さんに用います。他の薬剤やインスリン制剤と併用することもあり、毎食直前に服用します。副作用は腹部膨満などで、腹部の手術痕のある人には慎重に用いられます。
  • ビグアナイド剤
    2種あり
    肥満型糖尿病に用いられます。肝臓、脂肪組織、筋肉などに作用して血糖の上昇を抑えます。
  • SU剤
    数年前まで経口血糖降下剤といえばインスリン分泌促進作用を持つSU剤が殆どでした。現在も3種の本剤が多く使用されていますが、本剤を漫然と長期間使用するのではなく、最近は本剤が有効かどうか前もって検査して使用
    されるようになりました。
  • インスリン抵抗性改善剤
    新しい薬剤で、肥満(BMI25以上)や高血圧、高中性脂肪血症などを伴い、インスリン抵抗性があると診断された患者
    さんに使用します。

以上種々の経口血糖降下剤について述べましたが、何故特定の薬剤を処方するのか主治医の説明を受けることが必要です。
高齢者も糖尿病が増加しています。しかし
高齢の方ではSU剤などで低血糖が生じやすく、慢性低血糖による認知症症状がアルツハイマー型認知症と誤診されることもあります。又高齢者の低血糖では動悸、発汗などの症状が乏しいので注意しましょう。


6.インスリン療法について

  • インスリン療法
    インスリン療法を必要とする場合は、インスリンを注射しないと生命の危険がある時(1型糖尿病)2型糖尿病で激しい代謝異常(高齢者に多い高浸透圧性昏睡)の時、妊娠を希望する時、経口血糖降下剤(SU剤)が無効となった時、重症感染症(肺炎など)や外科手術を受ける時、リウマチなどで副腎皮質ホルモンを多く服用していたり高カロリー輸液を受けている時、はっきりとした肝臓、腎臓障害を合併する時などです。
    以上の内、頻度の高いのはSU剤無効例や肝臓障害合併例です。前者ではインスリン治療後経口薬剤が効果を示し、血糖コントロール良好となるので一時的なインスリン治療を行うことが賢明です。後者ではSU剤無効例が多く、糖尿病合併症(失明や足の壊疽)を防ぐためインスリン治療が望ましいのです。
  • インスリン製剤の進歩
    最近はペン型インスリンを用います。携帯しやすくインスリンを注射器に吸う必要がなく注射量(単位)が正確です。視力障害の方にも便利です。患者さん家族にまずパンフレットとビデオで自己血糖測定とインスリン注射法を予習していただいてから、医師看護師が丁寧に注射法の実際を繰返し指導します。
  • 注意していただくこと
    インスリン治療では多少の低血糖(ふるえ、発汗など)は頻度が比較的高く避けがたいですが、その対策としてご家族の方も含め低血糖症状を正しく理解され、捕食(ベットシュガーなど)と糖尿病手帳の常時携行の徹底などしていただけるよう、きめ細かい慢性指導を常時行っています。
    インスリンはよく効く薬剤で糖尿病の合併症を充分妨げますが、すでに神経症、網膜症疑われる時は、血糖ヘモグロビンA1c(1ヵ月の0.5%以内)を少しずつゆっくり下げるよう慎重に注射量を決めます。

7.進化論と医学

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によれば、この国では糖尿病は約900万人、糖尿病の可能性のある人は約1320万人で、その数は年々増え続けています。

糖尿病は1型と2型の2種類あり、1型は膵臓にあるインスリンを作る細胞が自らの免疫により破壊されるもので、糖尿病者全体の約5%に過ぎず、一方2型糖尿病はインスリンの量が少なかったり働きが悪いために起こる病気です。多くは食事や運動等生活習慣、生活状況に問題があります。

肥満になると糖尿病になりやすいと考えておられる方が多いと思いますが、私たち日本人をはじめアジア人の糖尿病患者さんの3/4は肥満ではありません。
なぜ日本人は肥満でないのに糖尿病になってしまうのでしょうか。日本人は健康な人でも糖尿病でも欧米人の半分程度しかインスリンを分泌しないことが判ってきました。すなわち日本人2型糖尿病の患者さんは食事は吸収されてもインスリン分泌が少なくて、食後高血糖が生じ易いのです。
アジア人とヨーロッパ人の間でインスリンを分泌する能力に差がある訳は、何千年にも及ぶ食生活の違いのためです。牧畜を行なうようになって肉に含まれる脂質(飽和脂肪酸)を人の脂肪細胞に蓄え、太っても糖尿病にならないために膵臓を発達させ、大量のインスリンを分泌して生き残った人種が現代のヨーロッパ人です。


8.進化論医学 その2

その7にて「アジア人のインスリン分泌能力は白人の半分程度でしかも日本人の糖尿病の3/4は肥満していない」ことを述べました。
では、私達アジア人は肥満が無いのに何故糖尿病になりやすいのでしょうか。
白人とアジア人とのインスリン分泌能力の差は何万年にも及ぶ食生活の差が問題なのです。白人は牧畜民族ですので、一日平均60gの脂肪を食べ、インスリン分泌能力の高い体質に進化したのです。しかし、私達アジア人は農耕民族で米作が主で、肉食の習慣が乏しく脂肪の摂取は非常に少量でした。青森県三内丸山遺跡の調査から私達の先祖である縄文人は一日に食べる脂肪量はわずか14gでした。江戸時代の人の脂肪摂取量は約19gで、同時代の白人のわずか1/3でした。
ごく最近までほとんど脂肪を食べなかった私達はインスリンを大量に分泌出来る膵臓に進化しなかったのです。しかし最近私達は食生活を激変させてしまったのです。一日のカロリー摂取量は意外にも2000キロカロリーと50年間全く変わりありません。50年前私達が口にしていた伝統的な和食を食べていた時のカロリー摂取に占める脂肪の割合は7%前後でしたが、現在は27%強となり、わずか50年で約4倍と急増したため、もともと私達のもつインスリン分泌能力とのアンバランスを生じ、糖代謝の破綻が生まれてアジア人の糖尿病は急増したのです。
一日に脂肪をどのくらい食べているかご存知ですか?。当院では3日間食べた食品、飲料を教えていただくことで食事調査を行なっています。


9.進化論と医学 その3

食べ過ぎ、肥満や運動不足は糖尿病の原因となることはご承知と思いますが、質素な食習慣が行き過ぎると糖尿病になり易いことが解ってきました。
最近若い女性達の「やせ願望」がこの国の糖尿病患者数を益々増加させているとの医学研究を紹介します。
日本産婦人科学会の報告によりますと、日本では2500g以下の低体重児の出産率が10%を超えていますが、飽食の時代の日本でなぜ未熟児の出産が増加しているのでしょうか。
その原因のひとつに若い女性の「スラーッとして美しく見られたい」というやせ願望があげられますが、ダイエットが行き過ぎると、将来母子共々糖尿病になり易いことが解ってきました。
第二次世界大戦中、オランダも深刻な食料不足に見舞われましたが、この時産まれた赤ちゃんの多くは体重が2500g以下でした。妊娠中、飢餓にさらされた母体から産まれた新生児がその後の将来の成人病として肥満症、心疾患、糖尿病のリスクが高いことが解りました。
産まれてくる子供の10人に1人以上が低体重児ということが日本の現状です。出生児の体重が少ない人ほど2型糖尿病を発症するリスクが高いことが解ってきました。妊娠中に充分な栄養を摂らないと、結果的に胎児の子宮内発育遅延を引き起こし、やがて糖尿病の発症につながるのです。

 

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